7 プロ野球ビジネスのしくみ 小林至&別冊宝島編集部
宝島社新書。
腰巻きには「プロ野球の真実を語った唯一の書」「球団経営の実態はここにすべて書かれている」「球界の大変革期に迫る超ド級の内部報告!」とごたいそうだが、内容は大したことはない。
福岡ダイエー社長(当時)高塚猛、オリックスが阪急を買ったときのC氏、オリックス・ブルーウェーブ球団社長(当時)岡添裕らのインタビューが軸だ。
ただ相手が悪かったのか、著者が負けている印象。インタビューの途中で、
「それより、小林さんは将来何をやりたいのですか? プロ野球経営に携わってみる気はありませんか?」「実際ウチに来て勉強してみればいいと思いますよ」「本当にどうですか、やってみませんか?」
と煙に巻かれている。
高塚は、ユニフォーム組から総すかんを食ったことは、知っている方は知っているであろう。
秋山幸二を大減俸した。工藤公康に「君の投げる火曜日は客が少ない」と言った(後にFA)。空気を読まず知り合いをグラウンドに入れ、選手・監督(王さんだ!)と記念撮影をさせる。怪我をしたときの扱いの悪さに小久保裕紀が放出を望み、巨人に無償トレードとなった。
さらに女性社員の口に舌を入れ、「スキンシップだ」と強弁する。強制猥褻で懲役三年、執行猶予五年。どうみても犯罪人。そもそも自著をホテルの全室に置かせるようなメンタリティの人間がいいわけがない。
そんな人に著者は「田中角栄元首相がそうでしたが、カリスマによって人をぐいぐい引っ張る指導者に共通するのが、大胆なたとえと数字を織り交ぜた巧みな演説です。高塚さんもそんなカリスマ指導者でした」と絶賛している。
たぶん著者としては早くなかったことにしたい本ではなかろうか。
ドッグイアー。
#(一般の経営とプロ野球の違いを聞かれて・高塚)違いを探して何になるんですか? 一緒だということで共通に使えるものを導き出して活用した方がよっぽどいい。(略)何で「(略)いいお天気ですね」って言うんですか? (略)それはそのことを言うことによって同じ思いをする、次のコミュニケーションを図るというのが大前提にあるんです。
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