54 日本史に見る女の愛と生き方 永井路子
新潮文庫。
近年の静かな日本史ブームにありそうな本だが、実は昭和58年発行である。
まずは小野小町、お市の方、と、とっつきやすい美女の話から始め、賢女、愚妻、強女、幻女、傑女、艶女、妖女と話を進めていく。
そもそも日本史というものは、小学校高学年から学んでいくものだが、女絡みのところはあまり触れられない。というか、どうしても情交がからむので、変な方向に興味のある高校生が「道鏡ってさあ」とにやにやして語ったりするのだ。ごほんごほん。
著者のスタンスははっきりしている。貴賤にかかわらず努力し自分の道を定めた女を褒め称える。意志がなく成り行き任せの女には容赦がない。前者はお市であり、滝沢馬琴の息子の嫁おみちであり、後者は建礼門院徳子であり、秀忠の娘、千姫である。
また紫式部と清少納言への人物評もおもしろい。
*彼女は(紫式部)は、むしろ薄っぺらな物知りを軽蔑していた。だから清少納言のような、知ったかぶりをする人間が大嫌いで、「紫式部日記」の中で、ひどく彼女をこきおろろしている。
#たしかに、清少納言には、そう言われてもしかたのない面がある。「枕草子」を読んでいると、いかに自分が博学であるかを自慢するような話やら、彼女の機転のきいた受け答に、貴族たちが感心したかという話が、ずいぶん出てくるのだ。
*彼女(紫式部)なら、どんな題を出されても、ちゃんと自分の立場をはっきりさせて、いいリポートを書くことはまちがいない。
#とは言っても、私は彼女に百点満点を与えるのはどうも気がすすまない。というのは、さきにあげた清少納言への手きびしい悪口、そのはしたなさ、どうひいきめに見ても、いやな女である。
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