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2127 ショージ君の「ナンデカ?」の発想 東海林さだお

 ブックオフH店。文春文庫22番。

 表紙は珍しく黄色バックに作者の線画を描く万年筆とインクの染みとそら豆。
 ページ構成が独特である。上四分の一はイラストに使われる。イラストはその話の間ずっと同じ。例えば「冷やし中華」だったら冷やし中華の値札の同じイラストが七枚も連続する。シュール。ただし一枚だけ1ページまるまるのイラストが挟まれる。

#例えば中曽根首相を例にとって考えてみよう。
#外国訪問に向かう中曽根首相が、成田空港で政府要人、多数のSPに取り囲まれて、カミブクロをぶら提げている図を想像してみよう。ただそれだけで、首相の権威はたちまち地に落ちてしまう。
(手提げカミブクロ)

#閉所恐怖症というのがあるように、人間は閉じこめられると不安になる。
#ところが人間には、「囲まれて喜ぶ」という性癖もある。
#孫に囲まれる、一族郎党に囲まれる、女に囲まれる、いずれも快い出来事である。
(お花見)

#サンダルは、履いている、という気が少しもしない。足にまとわりついている、という感じなのだ。
#サンダルを突っかけて階段を降りる、という場合を想像してみるとそれがよくわかる。
#階段を降りているというより、サンダル脱落防止活動に専念しているという状態になる。
(サンダル)

#筆も万年筆もボールペンも、インクの力を借りなければその機能を発揮しない。インクを犠牲にして成り立っていると言ってもよい。
#そこへいくと鉛筆は自らを摩耗させ、自分の生身を紙面にこすりつけ、自らを犠牲にしてその機能を全うするのだ。
(筆記具)

#(ウーム、引きつるような笑顔をした怪しい奴)
#ということになって容疑はますます高まったのではないか、と思い、心は千々に乱れ、転げ込むようにゲートを通過すると、これがまた折あしく、ブブーっと鳴ったりするのである。
#(ヨーシ、ヨーシ、ヘタに動くなよ)
#という目で、ガードマンは足のほうから、ペタペタとボディチェックを開始する。
#周囲の人々も、すでに「犯人」という目でこちらを見守っている。
#ここで逆上して、ヘタな動きをすれば、ただしに警官突進、手錠、拉致、投獄、銃殺、ということも考えられないではない。
(むずかしい顔)

#寄り集まるべき場所を見つけ得ず、人びとは不安を胸に抱きながらそれぞれの部屋に散っていくよりほかはない。
#近年、家庭の崩壊が言われているが、その元凶は実にコタツの喪失にあったのである。
(コタツ)


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