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2133 本を書く技術 石井光太

 図書館より。文藝春秋。副題、取材・構成・表現。

 ウェブログやnoteなどで文章を書いているアマチュアが、ノンフィクションの一冊の本を出せる腕前になるにはどうしたらいいかを骨太に解説する本。

 テーマは。取材は。視点は。表現技法は。構成は。やっていいこと・いけないことは。

 「はじめに」の例がいい。
 空き地に空き缶があった。(この物語の)書き手はごみに憤る。二人の兄弟が来る。一人は明日から入院するようだ。二人は缶蹴りを楽しむ。兄弟が去って、空き缶が残された。書き手は、空き缶があってよかったな、と感じる。
#事実→体験→意味の変化

#ノンフィクション本は敗者、弱者、脇役と高い親和性を持っていることは念頭に置いておく必要がある。

*こうした相手(罪の意識があり、相槌をひねくれて受けとる人)にどう相槌を打てばいいのか。私が必要だと思うのが、何かを決めつけるような表現を避け、素人目線の驚きを示し、そこから「~を教えてください」という質問をする言い方だ。

*「世間ではあの事件についてこう報じられていますよね。正直なところ、あなたはそれについてどうお感じになりますか」
*何気ない聞き方だが、ここには二つのポイントがある。一つが、世間の常識に対する反論を尋ねている点だ。こういう聞き方をすれば、常識や報道とは対極にある情報が出てくる確率が高まる。
#二つ目が、事実の確認ではなく、相手の感情を聞く質問である点だ。人は「この情報は正しいですか」と聞かれれば、事実に即して「正しいです」としか答えようがないが、こう尋ねられれば、「事実だけ見れば正しいけれど、実はこんなことがあった」とか「世間の人の気持ちはわかるけど、私はこう感じる」と枠に捕らわれない回答をするものだ。

#「あなたは特別なことをしている。なぜあなただけができたのか」と、その人の特異性を指摘し、そこから一段深めて理由を問いかけなければならない。

*極楽シート; 航空機墜落事件で警察はブルーシートのことをそう呼んでいた。「ビニール製のシート」とせず、このような現場独特の表現を生かす。

*三幕構成; 設定(20%) 対立・葛藤(60%) 解決(20%)

#書き手はできるだけ現実の時間軸から自由にならなければいけない。
#どういう順番で書けば読者の読書欲をもっとも刺激できるか考え、それを優先するということである。

#理想のラストシーンとはどのようなものだろう。一般的に言われるのは、ストーリーの終盤に「カタルシス」を作る方法だ。
 『ET』で言うと、ETは人間に捕まるが、少年たちに救われ、感動の別れのシーンで締めくくられる。

 ハッピーエンドはない物語のラストシーン。
#ノンフィクションの中には、負の感情を浄化させず、負の感情のまま幕を下ろさなければならない話が相当数あることがわかる。
#ここで提案したいのが、次の三つの方法である。
#1 情景描写で終える。
#2 問いかけの言葉で終える。
#3 To be continued(つづく)の形で終える。


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